スター・ウォーズ エピソード3 − 「銀河英雄伝説」 そっくり!? −
えと、 「銀河英雄伝説」 ファンの方で、この
「エピソード3」 もご覧になった方であれば、どこかどう
「銀英伝」 とそっくりなのかはおそらく一目瞭然だと思います。
これを書くとある意味ネタばれになりそうだけど、触れないとなかなか書けませんので、映画をご覧になる予定の方はぜひご覧頂いてからこの先をお読み頂くことをお勧めします。
* * *
さて。
映画は激しい宇宙艦隊戦から始まり、結構長い時間繰り広げられます。
ぐっと引いたと思ったらぱっと開け、スピード感たっぷりにくるくると変わる視点……って見覚えあるよなぁ。
ん〜、これってワルキューレやスパルタニアンが戦艦すれすれに攻撃しかけたりするあの戦闘シーンを彷彿とさせますね。
(ちなみに一緒に行った人は、この辺りを見て「ガンダム」を思い出したらしい)
「スター・ウォーズ」 第一作が公開された時、ストーリーはまぁともかくとして、映像としては
「こんなの映像で見たのは初めて」 という賞賛があったそうです。
もしも本作品が 「銀英伝」 や 「ガンダム」
よりも前に公開されていたら、やはり同じように感じたでしょうが、今はちょっと新鮮味が薄れた感じですね。
ある意味、それだけ日本のアニメが優秀と言えるかも知れません。
ただ最初に申しました 「銀英伝」 と似てる! というのはここではなくて……。
本作の転換点は、すでに紹介されているようにアナキンがいわゆる
「暗黒面に落っこちる」 ことがきっかけになるわけですが。
アナキンが途中で迷い悩む過程はよく分かるのですが、ついに落っこっちゃうところは突然すぎるというか極端すぎて何でだよ、てな感じでしたね。
それもダーク・シディアスの人智を越えた支配力によるんでしょうか? そういえば、アナキンを悩ませた予知夢もダーク・シディアスが謀ったものだったような気もするし、とんでもねぇヤツですな。
それにしても。 大体がウィンドウに 「待ってろ」
と言われたにもかかわらず、アナキンがのこのこと出ていったからこそああなっちゃったわけで。
多分あと一歩だったはずのウィンドウさん、あまりにも可哀想です。
ウィンドウだけでなく、この後名だたるジェダイの面々がパルパティーンの陰謀によって次々と、あっという間に倒されていきます。
パルパティーンがここまで完全に全軍を掌握してしまうというのも、とてつもなくものすごい
(だってそれまで全幅の信頼や尊敬を勝ち得ていたであろうジェダイに銃を向けさせるって、ちょっとやそっとのことじゃできないと思うんだけど。
あるいは、催眠暗示か何かで本人の意思とは関係なくやらせたんだろうか……?)
それにしても、他のジェダイたちも一人一人が、ヨーダやウィンドウやオビ=ワンと並び称せられるほどの人物だったはず。
それがこうもあっけなく倒されていくと、哀れというか何というか……。
何だか彼らが 「銀河英雄伝説」 におけるウランフやボロディンやアップルトンとだぶるような気がしました。
ジェダイが倒されていく様は、正に銀英伝のアムリッツァ会戦における同盟軍大敗に匹敵する転換点。
そしていよいよ歴史の大転換点を向かえます。
ジェダイたちをほとんど滅ぼしたダーク・シディアスは、議会で共和国の解体と第一銀河帝国の成立を宣言!
こりゃまるっきりルドルフ・フォン・ゴールデンバウムじゃあありませんか!
いや、ほんとこの展開はびっくりしました。
なんでこんな唐突な宣言に満場の拍手がわき上がるんだ、という点も含めての
「びっくり」 ですが。 実際、なんでみんな拍手するのか謎でした。
ルドルフの場合はそれまでに民衆の支持を集めていく過程があるのでそれなりに分かるんですけど。
そしてオビ=ワン対アナキン、ヨーダ対ダーク・シディアス。
だいたいこーゆー宿命的な対決は (ストーリー上の続編がある場合は)
決着が付かずに別れていくパターンが多いと思うのですが……ほぼ勝敗ついちゃいましたね。
まぁそれがダースベイダーという存在への伏線になっていくわけですが……
その一方、可愛さと強さで絶大な人気のヨーダさん
(いや、誉めてるんですよ、マジで) ですが、最後はちょっと弱かったなぁ。
こういうのこそ、決着が付かずに (例えば会場が崩れたりして物理的に隔てられて)
別れていくと、どっちもカッコイイエンディングにつながると思うのですが。
しかし対決はああなってヨーダは落ち延び、何だかものすごーく寂しいラストへとつながっていきます。
ストーリー上の続編であるエピソード4につながる言葉や人物や場面が流れていき、そしてあのタトゥーインの二重太陽……。
あの二重太陽も、第一作を見た当時は結構新鮮な映像でしたね。
これに続くエピソード4〜6が 「スター・ウォーズ」
シリーズ全編の中心であるならば……この締めくくり方は、
「銀英伝」 映像版のそれに似たものとなります。
「銀英伝」 OVAは本編すべてがリリースされた後、外伝のさらに一番最後、
「第三次ティアマト会戦」 で幕を閉じました。
小説版の構成から見ると非常に意外でしたが、描かれた時点を見て納得。
それは銀河の歴史が動き始める直前の時期であり、その後展開される壮大な叙事詩へとつながるプロローグを描いて全編の幕を閉じる、という非常に感動的なものでした。
ひるがえって、 「スター・ウォーズ」 シリーズはどうでしょう? 発表年代、それぞれのクオリティ、世の中の受け取られ方……感覚的なことしか言えませんが、エピソード4〜6が中心、と言うよりは、1〜3と4〜6はそれぞれ独立した三部作という感じが強くします。
とすれば、やはりこのエピソード3が 「スター・ウォーズ」
シリーズ全体の締めくくりであり……それがこうも寂しく、暗いのはちょと残念ですね。
本作を見て数日後。 コンビニで偶然、ジョージ・ルーカスのインタビュー記事の載った雑誌を発見しました。
立ち読みだけだったので大まかですが、 「ナポレオンやヒトラーをイメージした」
とありました。なるほど、帝政を宣言したダース・シディアスって思わずルドルフを思い出しましたが、一般的には確かにナポレオンやヒトラーですね。
その記事には、第一作を発表した頃とは世の中が変わった
(だからエピソード3がこういう内容になった)、みたいなことも書かれてましたから、エピソード3の結末は当初からの予定ではなかったことは確かでしょう。
別の雑誌には本作紹介に 「はっきり言って暗〜いおハナシ」
なんて書いてありましたが、確かに暗い。 たとえその先を誰もが知っているとしても、
「悪」 が勝利した時点で全編を閉じるというのは、どうもな〜、という気がします。
一説によるとエピソード7〜9に相当する作品も考えられてはいたけど、結局やめになったとか。
どうせならそこまでやってほしかったものです。
2005.08.05