その2.第13艦隊は何をしたのか?
アムリッツァ会戦の初戦、ヤン艦隊がミッターマイヤー艦隊に打撃を与えるシーン。ここでヤン艦隊は何を意図して具体的に何をしたのか。
小説版の場合は、こうなっています。
「第13艦隊は恒星アムリッツァの巨大な炎の影から猛然と踊りだしたが、それは遠心力によって太陽からちぎり飛ばされたコロナのようでもあった。
この意外な方角からの速攻を引き受けることになった帝国軍の指揮官はミッターマイヤーだった。勇敢な彼だが、意表を突かれたことは否定できず、先手をとられる形になった」
この場合は「巨大な炎」つまりプロミネンスの影にでも隠れていてミッターマイヤー艦隊の側面を突いた、ということでしょう。とっても分かりやすいです。しかしプロミネンスというのはじっとしてるものなんだろうか? 激しく動いてるような気もするのですが。それに、さぞかし暑かったろうなあ……(
 ̄△ ̄;)。
一方、OVAでは《ヒューベリオン》がアムリッツァ表面へ核融合弾を投下しています。ご存知のように恒星も核融合で輝いているわけで、ここに核融合弾を投下すれば、恒星の活動が活発になってプロミネンスもどば〜っと吹き出しそうに思われます。まあ、巨大な恒星に対してどのくらいの核爆弾を使えば有意な効果があるかはおいといて……。
この時、ヤン艦隊は核融合反応によって生じた暴風のようなものにのって、上昇していくように見えます。
ん……? この風みたいのは何なんでしょう……?
「ロマンアルバム 銀河英雄伝説」(徳間書店,1992年)という本には「魔術師ヤンのサルでもわかる戦略教室」という、おちゃらけながらも内容は真面目なマンガが掲載されています(なかなか名作と思います、このマンガ)。ここでは、OVAのこのシーンが、以下ように説明されています。
「ヤンはいきなり恒星アムリッツァに核融合弾を発射
− 爆発で生じた上昇気流に乗り、ヤン艦隊はミッターマイヤー隊に奇襲をかける」
……恒星表面にも希薄なガスが存在します。でも、コロナなんて100万度はあると考えられてるんですね。そんなのに乗っかったら、みーんな蒸し焼き、丸焦げ、下手すると蒸発しちゃうんじゃないかなぁ……。それとも、この時代の宇宙船の耐熱効果は抜群なのかも知れませんね……?
恒星近傍、それも恒星の活動が活発になれば、その影響で索敵や通信が困難になるであろうと考えられます。そこで拙作では、核融合弾でわざとそういう状況にして索敵を混乱させ、ミッターマイヤー艦隊に奇襲をかけた、と解釈してみました。
その3.《黒色槍騎兵》艦隊は何を失敗した?
「アムリッツァの謎」