コミック版ストーリー
※ ストーリー前半はこちら。
異星人の遺跡には、一機の宇宙船があった。
これに乗ればコロニーに帰れる!
ところが離陸しようとした際、誤解が元でアダムが宇宙船を飛び出してしまう。
アダムを助けようとルナも飛び出し、アダムは間に合ったものの、すでに発進状態にあった宇宙船はルナを残して離陸してしまった。
この宇宙船は一回しか離陸できないため、ルナを助けるためにもう一度地表へ戻れば、(少なくともこの船を使っては)
帰ることが出来なくなってしまう。
それでもルナを助けに戻ろう、と皆の意見は一致し、惑星へ戻ろうとする。
が、そこへ現れたのはアダムの父親の人格をコピーしたコンピュータデータだった。
「あの星へ戻ってはいけない! 文明のないあの大地で、たったこれだけの人間で生き延びることは出来ない!
だからこそ私は息子をお前たちに託したというのに!
生き物は常に生き延びて、おのれの子孫を栄えさせようとする。例えそれがわずかなチャンスでも……
それが自然の摂理だというのに、なぜ戻ろうとする!」
「仕方のないことなのだ! 宇宙では時に生き残る者のために踏み台となり、犠牲になる者も必要なのだ!
前へ進め! 後戻りするな! それが正しいのだ!
情に溺れて、犠牲になる者と共に亡ぶ気か!?」
しかし、子供たちは叫びます。
「後戻りも亡ぶ気もない! 私たちだって前へ進むつもりだ!
ただ、みんな一緒に手をつないで!
誰かを踏み台にして一歩進むより、みんなで手をつないで半歩だけ!」
この仲間を見捨てることなくみんなで進もう、というストーリー展開にはまったく不満はありません。
子供たちの決心によって宇宙船は地表へと戻り、巨大生物にたった一人で立ち向かっていたルナを助け、そしてまたみんなでのサヴァイヴァル生活が始まり………おしまい。
えっ、そこで終わりかよ! と思わず叫びそうになりましたがな。
このコミック版はアニメ前半を2冊に圧縮し、ラストには
「アニメ番組は続きますが、コミックはこの巻で終わりです」
とあります。なんだかね……このコミックは独立した作品として完成させるより、アニメの宣伝の一種程度のつもりだったような気も。
それにしても、子供たちが帰れないままで話がぷつんと終わってしまうのも不満ですし、またベルの
「いざとなったらあの星で一生暮らせばいい」
とか、シャアラの 「あたしたち、遭難してよかったね」
とかいうセリフはいかがなものでしょう?
言いたいことは分かるけど、まるで帰ることをあきらめるようなセリフに取れないこともない。
万一故郷へ帰れないとなれば、それは 「みんなで手をつないで半歩だけ」という名言のその
「半歩」 が踏み出せないことになってしまう。
無論これが実話だとすれば、そうなる可能性の方が高いでしょう。
しかしフィクションでまでわざわざそうしなくてもいいのでは。
せっかくのフィクションなんだから、 「みんなで手をつないで半歩だけ」
という素晴らしい決断に報いてほしかったものです。
で。 こ のストーリーで報いるにはどうすれば良かったか。
アニメ版の展開はまたそちらで触れますが、あちらでは遺跡の通信機を使って
《オリオン》 号という地球人の宇宙船と連絡がつきます。
ついに救援が来る! と色めき立つみんなですが、実は
《オリオン》 号には問題が……というわけでさらなるドラマへと発展していきます。
コミック版でも、ラストで 《オリオン》 号なり別の船と連絡が付き、やった! というところで終わっておけば……もちろんアニメ版ではそこからまだ続くわけですが、コミック版として、一つの独立した作品としての大団円で終わることが出来たんじゃないかと思うのですが……。