アニメ版ストーリー・エンディング


 2005年5月に 「無人惑星サヴァイヴ・アニメ版ストーリー」 を掲載してからすでに2年近く。 エンディングをアップしなければ、と思いながらこんなに時間が経ってしまい、大変申し訳ありません。 それでもやはり、せっかく取り上げたお気に入り作品については、予定通り最後まできちんとしめてやりたいと思います。
 「サヴァイヴ」 も今や過去の作品ということになってしまいますが、少しでも興味を持っていただけたならば、そして何らかの機会があったならば、ぜひご覧頂くことをお薦めします。
 というわけで、「無人惑星サヴァイヴ」 の見事なエンディングについて、ここに取り上げたいと思います。

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 惑星を救う決意を固め、宇宙船に乗り込んで重力嵐に立ち向かうみんな。 ところが重力制御ユニットが切り離せなくなってしまい、もはや宇宙船ごと重力嵐に突入するしかなくなってしまう。 一緒に行こう、という皆を押しとどめ、ルナは一人で重力嵐へと向かった。
 サヴァイヴとともに重力嵐を相殺しようとするルナ。 ……ってしかし、ルナのこの不思議な超能力が何なのか、やっぱり分からないままなのはちょいと不満ではありますが。
 過負荷によりとうとう宇宙船は失われるが、ルナはサヴァイヴのシールドで助かった。 そして重力嵐は消滅には至らなかったものの、軌道がそれ、惑星は救われた。

「人間の持つ無限の可能性。 私は考えを改めた。 星の未来はお前たち人間に託す。 機械と人間が力をあわせ、自然との新しい調和を生み出してくれ。 永かった私の使命も、これで終わったのだ……」

 そう言い残してサヴァイヴは消滅する。
 そして……突如ルナたちの眼前に出現する、巨大な宇宙船団!
 それは、かつてこの惑星から脱出していった人々の船だった。 新たな新天地を求めながらも得られず、一方で故郷の惑星の環境が無事に復活しつつあるという報告を受け、今やっと故郷に帰ってきたのである。

 この宇宙船団が出現した時はほんと心の底から意表を突かれました。
 惑星を救い、かつ子供たちがコロニーに帰還するにはもうこれぐらいしかないかな、とワタクシ的に考えた方法は、宇宙船ごと重力嵐に突っ込んでしまう、というものでした。 いちばん最初の遭難はシャトルごと重力嵐に吸い込まれ、ワームホールだか何だか、そんなものでこの見知らぬ宙域へたどり着いたわけですよね。 とすれば重力嵐を相殺するという作業を行いつつも、その直前にでも (故意ではないにせよ) 重力嵐に吸い込まれてワームホールを通過すれば、行きとは逆で地球人類のいる宙域にたどり着くのではないか。 そうすれば、惑星を救うと同時に帰還も果たせるのではないか……ただしこの方法の唯一の欠点は、アダムにさよならを言えないことですな。
 そう思いながら最終話を見始めると、確かにそうなりかけたけど……えっ、やっぱり宇宙船は失われるのか……じゃぁどうやって故郷へ……ええっ!? と、仰天させられてしまったですね。


 まぁ唯一ツッコミを入れるなら、宇宙船団がこの星へ帰ってくるタイミングがあまりにも狙いすぎ。 もう数時間でも早く帰ってくれば、ルナたちもこんなに苦労しなかったのに(笑)。
 宇宙船団が惑星環境復活の報告を受けたのは、惑星に残留した人々がサヴァイヴによって滅ぼされる前なのだから、かなり昔のはず (まさかその通信が光速以下だったので受信にとんでもなく時間がかかったということはないでしょう……光速を超えてワープアウトしてきたんだから、たぶん超光速通信もできてると思うのですが)。 そんな昔に報告を受けながら、ようやく今頃帰ってきたのかしらん?
 一つのアイデアとして、ルナたちの活躍を見たサヴァイヴは再び人間を信じ、出ていった人々にこの惑星の未来を委ねる気になって、最期の瞬間に超光速通信を送った。 それを受けた人々が、こうして帰ってきた……これなら、このくらいのタイミングで帰ってきてもまだ不思議はないと思うんですけどね。

 戻ってくるタイミングは別にして、その惑星の人々が戻って来るという展開は拍手喝采、感嘆を禁じ得ませんでした。
 子供たちが無事コロニーに帰れるだろうというのは確信を持って見ていましたが、その場合問題が2つほど残ります。
 まず第一は、ひとりぼっちのアダムをどうするか。
 そして第二は、無事帰ったとして、次は彼らの体験談を聞いた地球人の調査隊が大挙してやってくるでしょう。 そしてこんな環境の良い星は放っておけない、と植民惑星にしようとし、この星にいた人々の犯した過ちを、地球人がもう一度繰り返すのではないか、そんな危惧を抱いていました。
 しかし! この惑星本来の人々が帰還すれば、これらの問題は一挙に解決します。 しかも地球人類は労せずして (いや、本当は子供たちが苦労したのであって、その点で彼らの名は人類史に永久に残るでしょう) 新たな同胞をこの宇宙に得るという豪華なおまけ付き。
 新たな宇宙船をもらったルナたちは、今度は計画的に重力嵐を通って、ようやく故郷への帰途につきます。
 そうかぁ、もしも重力嵐消滅作戦が当初の作戦通り成功していたら、後からこうやって利用することもできなかったんですね。 うまく構成してあるなぁ(笑)。 この構成には降参しました。

 ところで些細なツッコミなんだけど、重力嵐に突入する前の会話。
「そういえば最後まで星に名前を付けなかったな」
「シャアラ」
「え……惑星、サヴァイヴって、どうかな」
「うん、その名前がぴったりだわ」
 あのう……無人惑星のままだったらそれでいいんですけど、現地の人たちがいることになったわけだから、なるだけ現地の呼称を用いるのが礼儀というものではないかと野暮なことを思ったり……

 ラスト、帰還してから数年後の主人公たちが描かれます。 もうみんな仕事をしてるようなので、10年ぐらいはたってるのかな? あまり変わった風には見えませんが(笑)
 何年もたってから、私たちの冒険やっと書き終えたって、ちょっと遅くないか、シャアラさん。 いや、わずか数秒で彼女の未来像を描くにはいちばん良いというのはとてもよく理解できます。 あ、学生時代は本業に集中して、卒業してから改めて書き下ろして正式デビューしたのかな?
 ハワードの職業はそれですか……まぁ確かに、オチで笑いをとる役どころが多かったから分からなくもないかも(笑)
 そしてルナが行っている仕事……えええっ、地球はそんなことになっていたのかぁ!! 最後の最後に仰天してしまいました。 あんな状況になってたなんて、一体何があったんでしょう……(後からDVDで見た第1話には触れられていましたが、ここまでひどいとは思わなかった……)。
 そしてエンディングテーマとともに、彼らが帰還した時の様子が挿入されます。 すでに出てきた人もいるけど、ここで初めて全員の家族が描かれます。 そうか、ただ一人家族のいないルナにはチャコがちゃんといるわけで。 うまくキャラ配置されてますな。
 それにしても男どもは落ち着きすぎてるなぁ。 ……と思ったらおい、ハワード。 やはりオチはキミか。 しかし随分優しそうなパパじゃないか。 そんなご両親なのに、どうやってそんな性格に育ったんですか(爆)

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 最終話があまりにも完璧なので詳しく書いてしまいましたが。 ツッコミどころはあるにしても、ここまで文句の付けどころのない終わり方は、ワタクシ的に特筆に値する作品でした。
 最終回のエンディングテーマとともにワンカットずつ現れる、彼らがコロニーへ帰還した時の光景では、家族と再会する様子が一人一人描かれています。 このシーンが活きるのも、やはり全員が無事に帰れたからこそですね。 全52話にも及ぶ長大な作品も、実にこの最後のシーンのためだけにあったように感じられます。……実際、子供たちはみんな正にこの瞬間のために頑張ってきたわけであり、そういう感じもあながち間違いではないかも知れません。
 このようなハッピーエンドで締めくくることができ、そしてハッピーエンドで終わるであろうことを確信を持って見続けることができた作品に出会えたことに、心より感謝したいと思います。

2007.02.28