無人惑星サヴァイヴ
 −2004年度ワタクシ的最高傑作作品。

 22世紀、反重力技術とワープ航法を実用化した人類は、30以上の植民惑星を持つに至っていた。 その一つ、コロニー 《ロカA2》 から修学旅行へと出発した子供たちの乗る宇宙船が、重力嵐に巻き込まれる。 子供たちはシャトルに避難するが、そのうちの1機が母船から切り離されてしまった。
 シャトルは見知らぬ惑星へと辿り着く。 が、そこは自然環境こそ地球に酷似していたものの、巨大生物の徘徊する危険な世界でもあった。 文明のまったくない未知の自然に投げ出された、7人の少年少女と1体のペットロボットによるサヴァイヴァルが始まる……。

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 2004年5月、某所に一人で出張した時のこと。
 適当に夕食を済ませた後、ビジネスホテルで何気な〜くTVチャンネルを回してみると、初めて見るアニメ映像が映し出されました。 バックボーンは当然ながらよく分からないけど、ジャングルで子供たちといかにもな悪者たちが何やら追いかけっこを繰り広げている。 それがこの作品との初めての出会いでした。
 後から分かったのが、この回は第28話 「これもみんなのため」 と、すでにかなりお話が進んだ段階だったんですね。
 今となってはその時どこが気に入ったのかもよく思い出せませんが、とにかく毎週木曜日の7時半から8時まではビデオ録画を欠かさず、ほぼ毎週見つづけたのでした。 それから約半年後、実に52話に及ぶ大長編も見事な大団円で終了。 その後出たDVD-BOXの1と2を発見後即購入し、第26話 「応答願います」 まで観て、やっとほとんどのストーリーを把握することができました。 しかしDVD-BOXも第2巻でやっと第26話。 とすると第4巻まで行くことになりそうですが、出たら即買うでしょう(^^)

 2004年に出会ったこの作品、DVDまで買ってしまうというワタクシ的には破格のお気に入り作品の一つとなりました。
 何がそんなに気に入ったのか……。
 この手の話でよく引き合いに出されそうなのが 「漂流教室」 とかだけど、まぁ大体こうした作品は凄惨ないがみあいになったり誰かが欠けたりと、ハッピーエンドになりにくいですわな。 でもこの作品は、むろんいがみあいもあるけど全員が自然に協力しあい、助け合って困難に立ち向かっていくようになる、とても気持ちの良いストーリーでした。 全員が欠けることなく無事に帰還できる物語だ、と半ば確信をもって見続けることができました。
 そしてほとんど文句のつけようのない、見事なエンディング。 (ネタばれになるのでエンディングについては別項で ^^;)

 8月にはコミック版 (全2巻、著者:長谷川祐一・大庭園、NHK出版、2004年) を発見し、これも即購入。
 このコミック版はアニメ版前半のストーリーをかなり圧縮した、ダイジェスト版のようになっています。 といってもアニメ版に比べてかえってテンポ良く進んでいるように感じるぐらいで、なかなかうまくまとめられています。
 ただ第2巻で、アニメ版にとっての途中でいきなりコミック版としての話が終わってしまい、 「そこで終わりかよ!」 とかなりの不満をもってしまったのですが (これもエンディングに関する別項にて)。
 それはともかくとして、コミック版第2巻の終わり近く。
 その惑星に在った 「ある存在」 の宇宙船を発見した子供たちは、それに乗って惑星からの脱出を試みました。 しかし、アクシデントによって一人だけが惑星に取り残されてしまいます。 その宇宙船は一回しか離陸できないため、取り残された一人を助けるため地表に戻れば、もう脱出は出来なくなります。
 たとえその一人がやむなく犠牲になったとしても、残りのメンバーが生き延びる (つまり故郷に帰る)、それこそが合理的な方法、「自然の摂理」だ、と 「ある存在」 は強硬に主張します。

「仕方のないことなのだ! 宇宙では時に生き残る者のために踏み台となり、犠牲になる者も必要なのだ!
 前へ進め! 後戻りするな! それが正しいのだ!
 情に溺れて、犠牲になる者と共に滅ぶ気か!?」


 しかし子供たちのだした結論は。

「後戻りも亡ぶ気もない! 私たちだって前へ進むつもりだ!
 ただ、みんな一緒に手をつないで!
 誰かを踏み台にして一歩進むより、みんなで手をつないで半歩だけ!」


 その後のコミック版エンディングについては上に書いたことも含めて若干の不満はありますが、それは別にして、このセリフこそ本作品の真価を現しているように感じます。 このセリフはコミック版のみでアニメにはありませんが、アニメでも基本的にはやはり同様のスタンスが貫かれています。
 人を故意に押しのけたり踏んづけたりするのが余りにも横行しているこの時代、そんな現実にありふれたドロドロにとらわれることなく、気持ちよい人間関係を描ききってくれたこの作品は、2004年に出会った作品の中ではワタクシ的に最高傑作となりました。 (もっとも、後からDVDで見た第1話はかなりドロッとしてて、これだけを見たら引き続き見る気になったかどうかは自信がありませんけどネ)
 「無人惑星サヴァイヴ」 終了後は、同じ時間帯で 「未来少年コナン」 が放送されてます。 またえらく以前の作品に走ったなぁ。 過去の傑作を再放送するのももちろん良いですが、また 「無人惑星サヴァイヴ」 のような新しい傑作にも期待したいですね。

 登場人物
 大ざっぱなストーリー・前半