分かっててやってます! − あるいは、言い訳ともいう(^^:)
 (「メムノーン伝」と原作の相違点について)

 本「メムノーン伝」は原作や参考資料に極力矛盾しないことを心がけたつもりですが、以下の点につきましては、それぞれ下記の理由から食い違っています。どうか見逃してやってください m(_ _)m

1.戦艦《ペンテシレイア》
 拙作で 《ペンテシレイア》 は第4辺境星域分艦隊から第7艦隊に編入され、アムリッツァ集結後は第8艦隊に編入されてここで撃沈されます(第7章)。
 しかしDATABOOKでは、《ペンテシレイア》 は第7艦隊編入後、アムリッツァ集結前の前哨戦で失われ、アムリッツァ会戦では第8辺境星域分艦隊旗艦から第8艦隊に編入された 《プロテシラオス》 が撃沈されたことになっています。
 本作の場合 《ペンテシレイア》 は第2章ですでに名前が出ていましたし、第7章でまた違う艦名(プロテシラオス)が登場するといささか煩雑になるかな、と思いまして、このような形にいたしました。

2.ムライさんの階級
 アムリッツァ会戦当時のムライ参謀長の階級は准将であり、「エンサイクロペディア」 によると、少将に昇進したのは翌797年の1月になっています。小説版ではいつ昇進したのかはっきりせず、またOVA第16話「新たなる潮流」ではイゼルローンに赴任した時点ですでに少将になっていますが、昇進の正確な日時はわかりません。
 拙作第9章でホリタと会話しているムライさんは、恐らくこの時点ではまだ准将と思われます。しかし、ホリタはムライさんよりは年下のつもりでして、それなのに階級が逆だと敬語の使い方も厄介になるため、ここでは同じ少将ということにしました。個人的には、社会的地位とか階級が如何にあろうと年上には敬語を使うべきだと思うのですが、一般に軍隊などはそこらへんが違うので、あまり好きになれませんね。

3.「ヤン艦隊」の呼称
 拙作では「ヤン艦隊」という通称は 「通称として用いられることを黙認した、ということに過ぎない」 と書きました(第10章)。
 もちろん「ヤン艦隊」という通称が「公式に認められた」というのは原作でも明記されており、間違いのない史実です。
 でも……いくら英雄でも、たとえ通称でも民主主義国家の軍隊に個人の名前が「公式に」冠せられるというのは、あり得ないと思うのですよ。またたとえ可能であったとしても、「『軍閥化』ととられかねないような呼び方を、ヤン本人もよしとするはずもない」のではないか、という気がします。そんなわけで、ここでは敢えてこう書かせていただきました。

4.辺境の戦力
 拙作ではこの点は DATABOOK をベースにしており、これまでにも触れましたように、同書では各辺境にアキレウス級戦艦を旗艦としたかなりの戦力が「辺境星域分艦隊」として配備されていることになっています。
 しかし原作(特に小説版)では、辺境に大艦隊があるようには見られません。救国軍事会議によるクーデターでは「首都(ハイネセン)から軍隊を派遣云々」といった記述も見られますし、外伝第2巻では「(反乱を起こした)ネプティスには恒星間航行能力を持った戦力集団は配置されていない」とヤンが説明しています。
 さらに、外伝第4巻では「惑星レベル以下の秩序破壊行為は、まず警備管区司令部に報告され、管区司令部の処理能力を越えたときに、軍中央が部隊を派遣することになるのだ」 とあります。
 ただし、査問会に呼び出されたヤンがイゼルローンに帰るときには、4人の提督率いる5500隻の混成部隊が従います。これは 「いずれも軍中央の艦隊に所属していない独立部隊で、任務は地域的な警備と治安であった」 とあります。ちなみにOVAで、この時のモートン少将の乗艦は艦籍番号510Mのようで、まだ《アキレウス》ではなさそうです。
 すなわち、辺境にもある程度の艦隊が配備されているのは確かなようですが、どうも一部に過ぎず、また大型戦艦や空母を擁するほどの大兵力が配備されている可能性は低そうです。しかしまあ《メムノーン》そのものが DATABOOK 独自の設定ですし、それを元にここでは各辺境星域に数千隻程度の辺境艦隊が配備されているものとしています。


「メムノーン伝」第1部あとがき